境界性人格障害についてsmapgモデル的解釈

境界性人格障害のモデルとしては次の原田先生の提示しているモデルがよく取り上げられる。

・中心となる基本テーマに、
① 自信がない
② 資質を生かせる活動の場が乏しい
③ 支えになる仲間が少ない
の三つがある。
名古屋の尾崎先生は訂正版としてもう一項目の追加を提案している。

・基本テーマから「落ち込み」「空しさ」などの感情が生まれ、対人関係の特徴(たとえば、傷つきやすさ)につながる。
・日常生活の「行き違い」などで「見捨てられた」などと極端に受け止めて、行動化を起こしてしまいがち。
・行動化が「周囲との軋轢」の増大、本人の「後悔」などをもたらし、不安・抑うつ症状や基本テーマが、いっそう悪化する。
・以上をふまえて「典型的なうつ病との違い」や「精神科での治療の内容や限界」を理解してもらう。
・本人の試行錯誤・自助努力で「行動化」を減らし、基本テーマを変えていくことが治療の本質であると伝える。
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smapg-modelでの説明
・観察として、常時精神病レベルにあり、現実検討がずれているわけではないが、一時的には現実検討が悪くなり、精神病レベルになる。こうした古典的な説明が妥当であるとすれば、とりあえず、自動機械部分が現実とずれている部分があるのであり、自意識部分はかなりの精度で現実を把握していると考えられる。自動機械のずれた行動を訂正せず合理化してしまい、その点では、自意識が原始的防衛機制を使っているから、話が二重にこじれるのだと思う。
・従って、自動機械部分の反応を訂正することと、自意識の原始的防衛機制の使用を訂正することの、両面から治療が必要である。
・上記にある、対人関係の傷つきやすさは、自動機械の反応であろう。たとえば、他人の表情を過剰に傷つく方向で解釈する。自分は嫌われていると解釈する。
・自意識はそれを訂正するのではなく、過激な行動化で反応する。そうすると上の悪循環が成立する。
・自意識がずれていて、自動機械が原始的防衛機制を使うという、逆の場合も想定されるが、その場合には、自意識の束縛が弱くなった時点で普通の行動パターンをとるのだろうということになる。ドーパミン系薬剤は多分この回路に遮断的に働いているので、このパターンの人にならば効くだろう。そうでない、最初に想定した例の場合には、逆効果だろう。
・精神分析で悪化するのは、自意識部分の退行を招くからで、最初に想定したパターンだろう。
・まず自意識がもっと高度な防衛機制が使えるように誘導すること。
・その上で、自動機械=世界モデル1を訂正すること。他人の目つきがどうであっても、いろいろな可能性があるのであって、解釈には幅があることを体得する。
・最近はbipolarとの関連で言及されることも多い。しかし、対人関係の過敏さ、傷つきやすさは、旧来のbipolarの指標には一致しない。人格障害の場合の落ち込み、空虚感は躁うつ病の場合のものとは違うような印象を持っている。気分安定剤がどのように効いているのか、よく分からない。神経細胞を保護する方向で働いていることは確かなようで、とりあえず有用だと思う。
・いずれにしても、現状のモデルの、一歩奥のからくりを説明できるように思っている。かえって分かりにくく思弁的にしているかもしれない。
・このように考えることで何か利点はあるかといわれると特にないようで、困る。いずれにしても治療は同じようなものになる。

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