減量の実際

Q:若い頃から体重が10kg以上増えたんですが、元に戻さないといけませんか?

A元に戻す必要はありません。肥満体重の5~10%減量することで、肥満に関わる検査数値は著明に改善しますよ。

体重の増加は、摂取エネルギーが消費エネルギーよりも大きい状態であることを示します。また、糖尿病・高血圧の発症リスクは、体重増加量が大きいほど高いことが報告されています。

そこで特定健診では、生活改善の必要性(高い発症リスクを有しているか)を判定する指標として体重増大の有無を確認する下記項目「9」が設定されています。

9 20歳の時の体重から10kg以上増加している。 (1)はい
(2)いいえ

指導では、この質問を深めることで、次のような展開が可能となります。
(1)20歳の時の体重から何kg体重は増えましたか?(答え:10kg)
(2)○kgと言うと身の回りのものでどんなものを思い浮かべますか?(答え:お米10kg)
(3)(減量する気になっていたら)3ヵ月で何kg減らしたいですか?(答え:3kg)
(4)それなら、1日当たり○kcal減らすと達成できますよ。(240kcal(3点分))

身体に蓄積された脂肪1kgには、約7,200kcalのエネルギーが含まれています。3ヵ月で3kg減量したい場合には、計算上は1日当たり約240kcal減らせばことになります。1点を80kcalとすると3点分になります。1kgやせたい人は1点分(80kcal)、2kgやせたい人は2点分(160kcal)、3kgやせたい人は3点分(240kcal)減じればよいことになります。安全な減量のペースは1ヵ月あたり1~2kg以内です。急激に減量すると、かえってリバウンドしてしまいます。

図表出典
保健指導における学習教材集