教諭自殺は公務災害 高裁逆転認定

教諭自殺は公務災害 高裁逆転認定
うつは仕事が原因
 県西部の小学校養護教諭だった尾崎善子さん(当時48歳)が自殺したのは公務災害だったとして、母親(82)が地方公務員災害補償基金県支部長の石川知事を相手取り、公務災害の認定を求めた訴訟の控訴審判決が24日、東京高裁であった。浜野惺(しずか)裁判長(渡辺等裁判長代読)は「(尾崎さんが)うつ病に関係の深い性格だから公務災害としなかったのは、到底理解できない」とし、請求を棄却した1審・静岡地裁判決を取り消して公務災害とした。

 判決などでは、養護学級で障害児2人を担当していた尾崎さんは、別の養護学校の児童が体験入学し、暴力を振るうなどの行動を取るようになったことが原因で、うつ病を発症。2000年4月から約3か月間特別休暇を取ったが、同8月に自殺した。

 1審判決では、体験入学によるストレスとうつ病の因果関係は認めたが、ストレスは「公務自体というより、体験入学に過剰な拒否反応を抱いたから」と判断した。これに対し、控訴審判決は「几帳面(きちょうめん)な性格で柔軟性に欠けていても、20年間に十分な勤務実績があった」とし、ストレスは「体験入学による重圧がかかりすぎたから」とした。

 逆転勝訴を受け、原告側代理人の塩沢忠和弁護士は「うつ病が本人の性格でなく、仕事によるものと判断した意味は大きい。うつ病を最先端の医学的見地からみている」と評価した。

 善子さんの弟、正典さん(54)は「精神疾患が職場で一般的に語られ、科学的な論点でものが言われるような社会になってほしい」と語った。同基金の藤原通孝副支部長は「判決内容を精査して対応を検討する」との談話を出した。

(2008年4月25日  読売新聞)