「うつ病」をやめて3つのストレス反応に分類

お話を伺い、
うつ病だと思いますねえと話すと、
そうですよね、私もそう思うんですが、
でも、正直言ってためらっているのは、
会社で部下に何人かうつ病の人がいて話も聞いているんですが、
そういううつ病の人たちと私は違うと思うんです、
しかも、これはどうかと思うことなんですが、
会社としては、うつ病の人たちを決して肯定的には見ていないんです、
私だってそうでしたから、
それなのに私がそうなってしまうなんて、やっぱり自分が許せないんです。

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そういえば確かにそうで、「うつ病」という呼び名は長く精神病の一種だった。
精神病というからには、
「そんなに落ち込む環境じゃないのに、なぜかひどく落ち込んでいる」病気
という印象があるのではないかと思う。

たとえば妻が死亡すればかなり落ち込むが、
しかしそれにしてもひどすぎる落ち込みだという場合もある。

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最近雑誌で特集されているような「うつ病」はそのようなものではないので、
もう思い切って名前を変えた方がいいのではないかと思う。

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笠原先生は「うつ病」ではなく「軽症うつ病」と
提唱した。
まさに内容は納得できるものである。専門家には、指針となった。
しかし「軽症うつ病」のインパクトは一般には強くなかったように思う。結局「うつ病」とついているので。
ディスチミア親和型うつ病という言い方もあるが、
余計話が難しくなるように思う。
こちらも結局「うつ病」とついているから。

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分かりやすいのか、分かりにくいのか、分からないが、
骨折の例をあげて説明すると、
多分、3つくらいに分ければいいのだと思う。4としてその他。
1.骨が弱いので骨折。
2.骨は強いが交通事故で骨折。
3.骨は強いがラグビー部で3年で骨折。
4.その他。骨折したと思い込んでいるなど。

ポイントは、「環境調整をどうするか」である。

1.もともと性格的な脆弱性があって、普通とあまり変わらない程度の環境なのに、耐えられず、不適応になっている。虚弱体質。
→この場合は、環境を変えても、同じ不適応状態になる可能性が高い。だから、まず、ものの考え方、感じ方から、訂正してもらう。

2.一回の強いストレスにより、体調の乱れているもの。急性ストレス反応。
→この場合は、基本的な環境は変える必要がない。しばらく休んでカムバックすれば良い。
失恋、近親者の死、戦争体験など。

3.慢性持続的なストレスにより、体調の疲れているもの。慢性ストレス反応。
→この場合は、環境調整が有効。

4.その他。自分は落ち込んでいると思い込んでいるものなど。
→環境調整無効。

いま厳密な定義を抜きにして、暫定的に
虚弱体質、
急性ストレス反応、
慢性ストレス反応と
3つに分類してみたが、
これだけでうつ病という言葉を回避できる。
これらは互いに重なり合うこともある。

たとえば、もともと骨の弱い人が、ラグビー部でしごかれて、
骨にひびが入りかけているところに、交通事故にあって、
決定的に折れた場合など。

もともと気分の波の激しい人が苛酷な環境で10年くらい働き続け、
妻が病気になり、子供は家出して、母親が死に、
最後の駄目押しで部内の会議で業績低迷の責任を取らされたとか。

ストレス反応は、身体のどこに出るか、精神のどの部分に出るかは、決まっていない。
肩こり、頭痛、動悸、めまいなどは多い身体反応であり、
精神的反応としては、憂うつ、興味減退、楽しみの喪失、
能率減退、強迫性症状、躁状態、被害的感情などいろいろとある。

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ストレス反応と大きくまとめて、
体質性、急性、慢性と分けるのもいい。
これで「うつ病」という呼び名とさよならできる。

ストレス反応分類
  体質性ストレス反応 急性ストレス反応 慢性ストレス反応
体質 弱い 普通 強い(強いからこそ10年も続けられる)
ストレス要因 普通 急性で強い 慢性で持続性
環境調整 無効 休養のみで復帰 環境を変える
症状 ヒステリー反応系 パニック系 うつ病系、ときにPTSD系
のたとえ 交通事故 ラグビー何年特訓