ヒット曲の3分の1が薬物乱用を歌う

ヒット曲の3分の1が薬物乱用を歌う 
 
   歌詞の内容で判断するなら、ロックよりもカントリー・ミュージックの方が子どもにとって有害である可能性があるという。複数ジャンルのヒット曲について調べた研究の結果、カントリーの37%、ロックの14%で薬物やアルコールについて歌われていることが明らかになった。ラップではさらに多く、77%にも上ったという。この知見は米ワシントンD.C.で開催された米国公衆衛生学会(APHA)年次集会で発表された。


 今回の研究は、米ピッツバーグ大学(ペンシルベニア州)医学部のBrian Primack博士らが、音楽誌「Billboard」のヒットチャートをもとに、子どもに人気のあるラップ、カントリー、R&B(リズム・アンド・ブルース)/ヒップホップ、ロック、ポップスの5ジャンルから2005年にヒットした279曲について調べたもの。


 その結果、全体の3分の1の曲が薬物乱用について言及していることが明らかになった。ポップスでは9%、R&B/ヒップホップでは20%であった。8~18歳の子どもは、1日に約2時間ポピュラーミュージックを聴くこともわかった。


 アルコールおよび大麻について歌ったものが特に多く、いわば「肯定的」結果に言及する傾向があった。「性的、社会的、感情的結果は肯定的だが、身体的、法的には否定的というものが多くみられた」とPrimack氏は述べている。


 ビートルズの「Lucy in the Sky with Diamonds」はLSDを暗示するといわれることもあるが(バンド側は否定している)、現代の歌ではこのように婉曲(えんきょく)的な表現ではないという。カントリー・ミュージックでは、薬物よりもアルコールに言及する頻度が高かったが、いずれにしても子どもたちへの影響は少なくないはずだとPrimack氏はいう。


 今回の研究では、歌の内容と子どもの行動との関係については検討していないが、子どもたちと話し合い、正しいこととそうでないことを教えるきっかけになるとPrimack氏は述べている。


 別の専門家も、エンターテインメントがそれを視聴する子どもの行動に与える影響については明らかにされていないことを認めている。例えば、暴力的なテレビ番組を見ることによって子どもが暴力的になるのか、もともと攻撃的な子どもがそのようなテレビ番組を好むのかは判断できない。いずれにせよ問題は、行動との関係があるならば、どういった関係なのかという点であるという。