下行性疼痛抑制系

痛いけどがまんしようと思うとき、
下行性疼痛抑制系が関与している。
つまり、脳から信号がでて、痛みを抑える。

痛みの元があって、
痛覚神経を経由して、脳の感覚野に届いているものならば、
極端に言えば、感覚神経を麻酔する、または切ってしまえば、
痛みは止まる。
(切ったあとにファントム現象はあるかもしれないが。)
それでも痛みがとまらないとしたら、
下行性疼痛抑制系の賦活を考える。

下行性疼痛抑制系の神経伝達物質は、
セロトニンとノルアドレナリンと言われていて、
これを賦活すればよい。

セロトニンとノルアドレナリンが足りなくなっているのが
うつ状態と言われていて、
これで話がぴったり合う。

セロトニンとノルアドレナリンが足りなくなるとうつ状態になるし、
痛みが止まらない。
セロトニンとノルアドレナリンを増やしてやると、うつ状態が治って、
痛みが止まる。

そんなわけで、昔は三環系抗うつ剤などを、最近は、SSRIやSNRIを使う。

説明書には、うつ病の薬としか書いていないと思うが、
セロトニンとノルアドレナリンを増やしてやると痛みが緩和されることもあるのであって、
そのことを、うつ状態を治せば痛みが緩和されると
説明していいのかどうか、厳密には難しい。

薬を出された人は、わたしはうつ状態と診断された、
実際にいたいのに、気のせいだと診断された、
精神病と診断されたと思うかもしれない。
しかし、そうではない。

あっさりと、セロトニンとノルアドレナリンはうつ状態にも関係しているし、
慢性の痛みにも関係していると言えばいいのだろう。

それぞれの因果関係はまた別の話である。