精神科救急

1.なぜ夜間24条通報事例が増加したのか

核家族化や親世代の高齢化等により、家族の危機的事態への対応能力が乏しくなったこと、そのような家族や近親者により普段は援助されているものの、地域生活を支える各機関との関係が希薄な精神障害者が増えたこと。さらに家族や近親者は、危機的事態において、親族や近隣あるいは他の援助者の助力を期待できるケースが少なく、ことに通常の相談機関が機能していない夜間・休日では、結局警察の力に頼らざるを得ない状況に置かれていることなどが原因。

2.精神科救急でもっとも多い疾患は統合失調症である

すべての施設の救急受診者数を合計し、受診形態によって4群に分け(緊急措置診察群、その他の警察官関与群、警察官関与のない入院群、警察官関与のない外来群)、それぞれ比較検討した。その結果、「緊急措置診察群」や「その他の警察官関与群」などの公的強制力を要するハードな救急において、およそ6割ともっとも多くを占めたのは統合失調症を中心とする精神病圏で、次いでアルコール・薬物性精神障害がおよそ2割だった。一方、ソフトな救急としての外来群では精神病圏の割合はより少なくなっていたが、それでも約4割だった。

日本の精神科救急医療でもっとも多い疾患は統合失調症である。