統合失調症におけるARMS(at risk mental state)

統合失調症を含む早期精神病(early psychosis)の前駆期状態を
操作的に診断するために開発された。
後方視的(prodromal)ではなく
前方視的(at risk)な観点でのもの。

前駆期状態専門クリニックPACEが提案。

ARMS(at risk mental state)についてのPACEのUHR基準(Ultra high risk)

グループ1:弱い(域値下の)精神病症状群(Attenuated Psychotic Symptoms)
以下の症状のうち少なくとも一つ存在……関係念慮、奇異な信念または魔術的思考、
知覚障害、妄想様観念、奇異な思考や会話、奇異な行動や外見

症状の頻度……少なくとも週に数回
精神状態の変化は少なくとも1週間以上で5年を超えない

グループ2:短期間欠型精神病群(Brief Limited Intermittent Psychotic Symoptoms:BLIPS)
一過性の精神病症状……以下のうち少なくとも一つの存在:関係念慮、魔術的思考、
知覚障害、妄想様観念、奇異な思考や会話
エピソードの持続は1週間以内
症状は自然に自然に軽快する
BLIPSは過去1年以内に生じていなければならない

グループ3:素因と状態の危険因子
第一親等親族に精神病性障害または本人が統合失調症型パーソナリティ障害
精神状態または機能に優位な低下……少なくとも1ヶ月続き5年を超えない
(GAFで病前から30点の低下)
機能低下は過去1年以内に生じている

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ここで問題にしているリスクは
統合失調症ばかりではなく、急性一過性精神病、精神病レベルのうつ病などを含むもので、
それらを総称して早期精神病(early psychosis)と呼んでいる。

この基準で観察すると、
当初1年間で40パーセントが精神病に移行したとされた。
しかしその後は移行率は低下している。
受診者増により「偽陽性」が増えているものと思われる。

広く考えれば、健常者も一時的には精神病様体験 psyckotic-like experience(PLEs)をしているもので、その中の何が本質的に、精神病の始まりと関係しているのか、今後の研究が必要である。