プランBとは,基本的には高用量プロゲスチンであり,
無防備性交(unprotected sex)後の妊娠を防止する薬剤。
プランBは,無防備性交後,その使用が早ければ早いほど,
妊娠防止効果が高くなる。
無防備性交後24時間以内にプランBを使用した場合の妊娠の確率は0.4%。
性交後48-72時間と使用が遅れると,妊娠の確率は2.7%。
プランBを使用しなかった場合の妊娠の確率は8%。
一般名levonorgestrel。
「事後」に使用される避妊薬との意味で「morning after pill」とも呼ばれる。
ちなみに,「プランB」とは,規定のプランが失敗した後,失地を挽回するための「緊急作戦」を意味するイディオム。
米国では、プランBが中絶薬なのか避妊薬なのかで議論になった。
プランBに含まれるプロゲスチンというホルモンは、排卵は妨げるが受精卵には影響しない。
したがって妊娠中絶とはみなされない。というのが結論のようだ。
これに対して、『ミフェプレックス』(Mifeprex)あるいは『RU-486』という名前で知られるミフェプリストン(mifepristone)という薬品は、妊娠後49日以内ならば妊娠の終了(中絶)を誘発する効果を持つ。FDAでは、この薬を服用する女性は必ず医師の監督を受けるよう規定している[日本では認可されていない]。また、もともとガン治療薬として開発されたメトトレキサート(methotexate)という薬も、時に中絶のために使われることがある。
一方の陣営によれば、
排卵前の5日間に避妊せずに性交すれば妊娠する可能性がある。
これは精子の寿命が最大5日であることによる。
卵子の寿命は通常、排卵後6時間から12時間である。
プランBは、卵巣からの卵子の排出を促す女性ホルモンのレベル上昇を抑制することで、排卵を阻害する。
そのため、プランBは性交後72時間以内に服用し、さらにもう1錠を12時間以内に服用しなければならない。
すでに排卵が起きた後に服用した場合は、
受精を阻害することも、妊娠を終了させることもないこと
は複数の研究が裏付けており、この薬の製造元も認めている。
一方の陣営は、
プランBは受精卵を子宮に着床させないことにより「中絶」を起こしうると説明している。
受精卵に影響を与えないというデータはない。
プランBを「プロゲスチンのみを使用した人工中絶薬であり、主な作用は着床を妨げること」としている。
受精した生命は守れというわけだ。
これに対してプランB擁護波は、
プランBは排卵を阻害するだけであり、中絶というよりは避妊の一手段である。
医学的にも科学的にも、現在受け入れられている基準では、妊娠は着床から始まることになっているのであって、着床以前の出来事を人工妊娠中絶と表現するのは無理があると指摘している。
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妊娠は着床から始まると言い張るのも、どうだろうか。
また、排卵阻害だけではなく、着床を妨げると言い張るのもどうだろうか。
受精から生命として保護するのか、
着床として生命として保護するのかといった議論は、
連続しているものをあえて人間の言葉で切り離しているだけで、
よくある無益な議論である。