人とマウス、行動そっくり 種を超えた基本法則存在か
記事:共同通信社 提供:共同通信社【2008年4月30日】
マウスと人間の行動は動きの速さを別にすれば、休息の取り方などのパターンが全く同じであることを大阪バイオサイエンス研究所(大阪府吹田市)や東京大などの研究チームが突き止め、30日付の米科学誌プロスワンに論文を発表した。
チームは、体内のリズムを生む遺伝子の機能を失ったマウスと、うつ病の人の休息パターンが同じことも発見。生物の行動の背後に種を超えた基本法則が存在する可能性を示すとともに、うつ病の原因究明にもつながる成果として注目される。
発表したのは、同研究所の内匠透(たくみ・とおる)研究室長(神経科学)や山本義春(やまもと・よしはる)東大教授(生体情報論)ら。マウスはかごに入れ、重みに反応するセンサーを敷いて動きを記録。人には腕時計型の加速度センサーを着けて普通に生活してもらい、体の動きを記録した。
活動時間や休息時間について、長いものや短いものがどんな頻度で現れるかを分析すると、パターンは全く同じで、人の動きを100倍の速さで早回しすればマウスと同じになることが分かった。
山本さんは「人とマウスの脳には同じ回路があって、行動を支配する同じ法則を作り出しているのではないか」と語る。
一方、体内のリズムをつくる「時計遺伝子」のうち「Per2」の機能を失ったマウスと、うつ病の人では、長い休息時間の頻度が高いというパターンが同じだった。
Per2に変異のある人で睡眠障害が起こることは知られているが、うつ病との関係は不明だ。内匠さんは「時計遺伝子の機能が失われることで、うつ病になる可能性はある」と話している。
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このタイプのうつ病もあると昔から指摘されている。