全国の診療所数は推計ですが約2,500~3,000施設の間で、1診療所の平均患者数が556人です。施設状況は約3/4がビル診、常勤医師が1施設平均1.12人、事務員が約2人。医師1人のビル診が主流です。平均約2割が統合失調症の患者さんですから、1診療所の平均患者数556人のうち約100人、したがって全国では約30万人となり、いかに多くの統合失調症の患者さんが地域の精神科診療所に通っているかわかります。
東京都内には約400の診療所がありますから、約4万人になります。ちなみに都内には社会復帰施設(生活支援センター、授産施設など)が多数できましたが、そこでケアされている方々は多く見積もっても約9,000人です。
地域生活支援センターでは、統合失調症の方が今のところはメインではあるんですが、いわゆる境界型人格障害(Borderline Personality Disorder;BPD)の方が結構増えてきています。ICD-10やDSM-IVなど既存の診断基準を、診療所やカウンセリングルームでフォローしている人たちに適用しようとすると、どこか無理があるように感じるのです。対人緊張、リストカット、過食、キレやすさ、引きこもりなどのケースを既成の診断基準に当てはめようとしても、難しいものがかなりあったのです。
「機能分化」が進むと、そのシステムからはみ出さざるを得ない患者さんたちが一層出現する危険性があるわけです。