糖尿病、高脂血症などのメタボリックシンドロームは、新規抗精神病薬の使用において注目されている身体合併症です。
統合失調症自体、糖尿病の罹患率が高いのですが、抗精神病薬の種類により糖尿病の罹患率に差があることも事実です。発症リスクが高いのはClozapine(本邦未発売)、続いてオランザピンです。
抗精神病薬による糖尿病発症の機序は、次の3つが考えられます。
<抗精神病薬による糖尿病発症の機序>
1. 薬物誘発性の体重増加
2. 代謝系への直接的な影響
3. その両者
体重増加は糖尿病発症のリスク因子です。また非肥満例におけるHOMA-IR(Homeostasis Model Assessment Insulin Resistance)やレプチンの値を見ますと、Clozapineとオランザピンは高い傾向にあり、インスリン抵抗性を起こしやすいことが推測されます。このように体重増加と無関係な高インスリン血症や血清レプチンの増加は、ある種の抗精神病薬が代謝系へ直接作用することを裏付けるデータと言えます。
また、同じ力価のドーパミン遮断を単剤でなく多剤で行うほうがインスリン抵抗性を起こしやすいと考えられます。統合失調症でメタボリックシンドロームを抱える患者さんを調べたところ、抗精神病薬の量ではなく、剤数が増えると内科薬の数も増加していました。増えた内科薬はインスリン抵抗性を治療する薬でした。多剤併用はインスリン抵抗性を惹起する可能性が考えられます。
(長嶺敬彦)
「非肥満例におけるHOMA-IR(Homeostasis Model Assessment Insulin Resistance)やレプチンの値を見ますと、Clozapineとオランザピンは高い傾向にあり、インスリン抵抗性を起こしやすいことが推測されます。」
との指摘であり、
「インスリン抵抗性」という言葉は、もともとメタボリック心ドーロムの元になった言葉であり、つまりは相対的なエネルギー過剰状態をさすわけで、そうなると、それを「糖尿病」という、病態の部分のみをさす言葉と捉えていいのかどうか、怪しいところがある。
「同じ力価のドーパミン遮断を単剤でなく多剤で行うほうがインスリン抵抗性を起こしやすいと考えられます。」
というので、おやおやと思うと、
「統合失調症でメタボリックシンドロームを抱える患者さんを調べたところ、抗精神病薬の量ではなく、剤数が増えると内科薬の数も増加していました。増えた内科薬はインスリン抵抗性を治療する薬でした。」
とのことで、
「多剤併用はインスリン抵抗性を惹起する可能性が考えられます。」
との結論。
もうすこし論拠がほしい。
「インスリン抵抗性の発現には腸間膜の脂肪沈着が重要といわれている。腸間膜脂肪組織で合成された脂肪酸は直接肝に送られ、肝での中性脂肪合成を促進する。」
ということなので、やはり、運動しないから新規抗精神病薬を使いたいわけだし、
新規抗精神病薬を使っても運動するくらいの元気は出ないということであれば、
やはりメタボリックシンドロームになるだろう。
その単純な悪循環のほかに、
新規抗精神病薬が、薬理的に悪影響を与えることが推定され研究されている。