NEJM誌より。
80歳以上の高血圧患者に対する治療の利益については議論がある。これまで、後ろ向きコホート研究では、80歳以上の高血圧患者で降圧薬を使用しているグループでは、血圧は高めの方が生存期間が長いとの報告があった。一方、無作為化試験の場合、対象に80歳以上が含まれることは希だが、あえて行われたメタ分析では、脳卒中リスクは36%減少する一方で、全死因死亡リスクが14%上昇した(P=0.05)と報告されていた。
Beckett氏らは、高齢高血圧患者に対する降圧治療の利益とリスクを明らかにすべく、二重盲検の無作為化比較試験を13カ国の195医療機関で行った。
東欧と西欧、中国、オーストラリア、チュニジア。
利尿薬インダパミドとアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)のペリドプリルを使用。
治療群では患者の50%近くが目標血圧値150/80mmHgを達成していたことから、著者らは「目標値の設定は適切と考えている。インダパミド単剤またはペリンドプリルを併用して、この目標値を達成することにより、80歳以上の脳卒中死亡、全死因死亡、心不全リスクを低減できる」と述べている。
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原則的に、血管を傷つけない限りは、血圧は程度高いほうが元気がい
血圧が低すぎると元気がなくなる。
脳卒中、心不全リスクを低くするためには150/80でよいとの報告である。
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このあたりは難しい。
コレステロールも高めの高齢者のほうが元気なようだ。
元気でころりの「ピンコロ」には、血圧も、コレステロールも、高めでいいのかもしれない。
しかし問題はあって、血圧が高めだから元気と解釈していいかどうかだ。血圧が高めであるにもかかわらず、長寿であると解釈すべき場合もあるだろうからである。
例えば、高齢者は、タバコをたくさん吸っていたりする。だからタバコが長寿にいいというべきものではなくて、タバコをすうにもかかわらず、長寿であると解釈すべきだろう。
長生きの傾向があるから、多少の害悪も気にならないということになるのではないか。
元気、長寿には多様な要素がある。
どんな環境でも、長生きする遺伝子を持った人がいるということなのではないか。
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研究としては、逆のトライアルがほしい。
老齢者を、140/80以下の血圧にコントロールしたとして、何かマイナスはあるかという研究。
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今回は150/80をカットオフポイントにしたのだが、
上下の差が大きすぎないかな?
これも人種差だろうか。
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男女の差は大きいはずで、これをひっくるめて平均しているのでは、
精密な話はできないだろう。