記事:共同通信社 提供:共同通信社
【2008年4月8日】
記憶や行動に影響を及ぼし、統合失調症の発症にもかかわるタンパク質を、アステラス製薬(東京)の松本光之(まつもと・みつゆき)主管研究員と米国立精神衛生研究所などのチームが発見し、米科学アカデミー紀要(電子版)に7日付で発表した。
このタンパク質の働きを抑える物質が見つかれば、統合失調症などの治療薬に使える可能性があるといい、同社が研究を進めている。
中枢神経で強く働いている「SREB2」と呼ばれるタンパク質。人や動物のゲノム(全遺伝情報)を利用した薬の研究過程で見つかった。
松本さんらは、SREB2が脳で過剰に機能するマウスと、働かないマウスの2種類をつくって調べたところ、過剰なマウスでは脳が小さくなり中のすき間が拡大。記憶や情報処理など、統合失調症と関連する障害も観察された。
一方、SREB2が働かないマウスでは脳の重量が増加、記憶力も向上するなど逆の傾向がみられた。
さらに米国立精神衛生研究所の解析で、SREB2は人でも統合失調症へのかかりやすさを左右し、記憶に関係する、脳の「海馬」と呼ばれる部分の大きさに関係していることが判明した。
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