睡眠時間が長すぎるか短すぎると肥満になる可能性

睡眠時間が長すぎるか短すぎると肥満になる可能性

Kelley Colihan
WebMD Medical News  
 
 【4月1日】我々には快い睡眠時間が少なすぎるかもしれない。睡眠時間が長すぎるか短すぎると肥満になりうるという研究結果が得られつつある。

ラヴァール大学(ケベック州)の研究者らは、カナダ人に関する大規模研究に参加した被験者276名を6年間調査した。

睡眠時間は質問票を用いて判定し、睡眠時間が短い群(一晩につき5-6時間)、平均的な群(一晩につき7-8時間)、長い群(一晩につき9-10時間)の3群に被験者を分類した。

結果の一部は次の通りである。
・6年間において、睡眠時間が短い群は、睡眠時間が平均的な群よりも、体重が11ポンド増加する可能性が35%高かった。
・同じ6年間において、睡眠時間が長い群は、睡眠時間が平均的な群よりも、体重が11ポンド増加する可能性が25%高かった。
・睡眠時間が短い群は、睡眠時間が平均的な群よりも、ウエスト径が58%多く増え、体脂肪も124%多く増えていた。

最適な睡眠時間とは

健康を維持するための「最適な睡眠時間」があるかもしれない、と研究者らは考えている。

米国睡眠医学会(AASM)は成人の睡眠時間として7-8時間を推奨している。

この研究結果は、「成人の睡眠時間が短いまたは長いことによって、将来の体重および脂肪増加のハイリスクが予測されることを示すエビデンス」である、とラヴァール大学の研究者Jean-Philippe Chaput氏はニュースリリースで述べている。

「この研究結果は、体重増加および肥満に寄与する我々社会の身近な環境因子のひとつとして、睡眠時間をとらえる必要があることを強調している」とChaput氏は付け加えている。

睡眠時間が奪われた米国社会

本研究の著者らによると、米国人の睡眠時間は奪われつつあり、40年前に比べると、一晩の睡眠時間は1時間半から2時間短くなっている。

以前の研究でも、睡眠時間の減少と忍び寄る肥満とを関連付ける同様の結果が示されている。今回の新しい研究は、睡眠とホルモン濃度変動を伴う体重増加との結びつきを示す、増大しつつあるエビデンスをさらに追加するものである、と研究者らは述べている。

米国睡眠医学会(AASM)によると、成人のほぼ3分の1が睡眠時間を6時間未満であると述べている。

理想的な睡眠

米国睡眠医学会(AASM)が提唱する理想的な睡眠のためのヒントは次の通りである。

・就寝時の日課を一定に保つこと。
・就寝時にリラックスできる環境をつくること。
・毎日、一晩ぐっすり眠ること。
・就寝前のカフェインや他の刺激物の摂取は避けること。
・就寝時に心配事をしないこと。
・空腹または満腹状態で就寝しないこと。
・就寝前6時間以内に激しい運動をしないこと。
・寝室は静かで暗い状態を保ち、やや涼しくすること。
・毎朝同じ時間に起床すること。

この研究は『Sleep』4月1日号に掲載される。 
Chaput, J-P. Sleep, April 1, 2008; vol 31: pp 517-523.
News release, American Academy of Sleep Medicine.