新しい喘息治療ガイドライン

新しい喘息治療ガイドライン 
 
   米国心肺血液研究所(NHLBI)の米国喘息教育予防プログラム(NAEPP)により、喘息の管理と発作予防に焦点を当てた新しい喘息ガイドラインが作成され、ダラスで開催された米国アレルギー喘息免疫学会(ACAAI)年次集会で発表された。


 喘息症状はコントロールでき、重度の発作は防ぎうるという。このガイドラインでは、喘息と診断された人が必ずしも呼吸困難に苦しむわけでもなく、活動を制限される必要もないことが強調されている。「すべての喘息患者にこのことを実感してもらいたい」と米Advocate Health Care(シカゴ)のMichael B. Foggs博士は述べている。


 新ガイドラインでは、新たに医師と患者の協調と、監視・管理の継続に重きを置いている:


・喘息患者は、疾患の重さや症状の有無にかかわらず、1~6カ月に1回、医師の診察を受ける必要がある。
・日常の処置に関する指示や症状が悪化した際の対処法が書かれた治療計画書を、患者全員が持つ。この計画書は医師または看護師が患者の意見を取り入れて作成し、家族、教員、スポーツのコーチなど、患者に関わる人すべてにも共有させる。
・喘息治療には、患者の文化的背景や教養レベルを考慮に入れた教育を取り入れる必要がある。患者が自分の喘息管理に積極的に関わるようにする。
・重症度に基づき、旧ガイドラインの4段階ではなく、6段階に分けた喘息治療を行う。従来どおり、症状に応じて薬剤を増減する段階的な治療が推奨される。


 10年ぶりの大改訂となるこの新しいガイドラインでは、吸入コルチコステロイド薬の定期的な使用が標準治療であることを強調しているが、実際に処方される頻度はそれほど高くないという。スポーツ選手が筋力増強のために用いる危険な蛋白(たんぱく)同化ステロイドと混同している人もいるが、コルチコステロイド薬は適切に使用すれば極めて安全で有効であると専門家は述べている。


 5~11歳の小児では薬剤への反応が成人と異なることがあるため、この年齢層は独立したカテゴリーとして扱われている。多くの成人患者に必要とされる長時間作用型β(ベータ)作動薬などとの併用はせず、低用量の吸入コルチコステロイド薬を毎日使用するだけで喘息を管理できるとしている。さらに、喘息の症状がないときでもコントロール薬を使用する必要があることが強調されているほか、薬剤を肺にきちんと届かせるため吸入器(インヘラー)の正しい使用法を患者に指導することも必要としている。