抗うつ薬なのに眠いだるい こたつのたとえ

抗うつ剤を飲むと、すこし眠くてだるくて、

すこしだけ休めるようになります。

眠くてだるくなるのは、正確な自己認知ができるということなのです。

本来、そのような薬なのですが、

中には極めてまれに、

抗うつ剤なのだから、もっともっと元気になって眠気も吹っ飛ぶほどだろうと

思い込んでいる人もいるようです。

そうではないということをたとえ話で。

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コタツに入っていると、自動温度調整器がついていて、ついたり消えたりして、

多分、40℃くらいに保っているのだと思います。

1.

自動温度調整器が70℃にセットされていたらどうなるでしょうか。

多分、すごく暖かい高性能のコタツだといって人気が出るでしょう。

しかし、ヒーターが焼き切れて、修理をしなければならなくなるでしょう。

70℃にセットされている自動温度調整器とは、つまり、壊れているのと同じです。

ヒーターを保護することが出来ません。

2.

自動温度調整器が25℃にセットされていたらどうなるでしょうか。

多分、全然温まらない、だめなコタツと言われて、苦しく思い、しかし、

自分では最高の努力をしているのだ、なぜそれを分かってくれないのだろうと、

思うでしょう。

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1.は、すごく頑張りやさんで几帳面で、対人配慮に溢れた人が、

限界まで頑張ってしまって、ダウンする場合です。

この場合、治療は、もう一度70℃にすることではありません。

自動温度調整器の設定を、40℃にすることです。

抗うつ剤はここに効いています。

すると、患者さんは思うわけです。

だんだん温度が上がってくることは確かだけれど、たった40℃で頭打ちだ。

自分は昔は70℃まで頑張れたのだ。

だめな自分になった。

40℃でだるいとか眠いとか思うなんて。

しかし考えてみると、これでいいのです。

40度になったら、それ以上は温度を上げない、

それが正しい温度調整器なのです。

40度になったら眠くてだるい、それを普通だと思って生きて下さい。

そうでなければ、また、焼き切れてしまいます。

40℃になったら、からだとこころにストップをかける、そのようになって欲しいのです。

抗うつ剤を飲めば、まるで高性能のドリンク剤のように、

頑張りがきくと思ったら少し違うと思います。

冷静になって、自分のことが見えてくるのです。

こんなに無理をしていたらだめだなと見えてくるのです。

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2.

こちらは、学生時代を通じて、25℃までしか体験せず、それでいいと思って育ってきた人です。

とても幸せでした。

世の中の平均体温はもっと高いものだと知ったなら、

36℃に調整するもよし、

25℃のままで生き続けるもよし、でしょう。

上司の要求をあなたが苦しいと思うとき、

上司の温度調整器が壊れているのか、(たとえば70℃)

あなたの温度調整器が壊れているのか、(たとえば25℃)

考えてみましょう。