抗うつ剤を飲むと、すこし眠くてだるくて、
すこしだけ休めるようになります。
眠くてだるくなるのは、正確な自己認知ができるということなのです。
本来、そのような薬なのですが、
中には極めてまれに、
抗うつ剤なのだから、もっともっと元気になって眠気も吹っ飛ぶほどだろうと
思い込んでいる人もいるようです。
そうではないということをたとえ話で。
*****
コタツに入っていると、自動温度調整器がついていて、ついたり消えたりして、
多分、40℃くらいに保っているのだと思います。
1.
自動温度調整器が70℃にセットされていたらどうなるでしょうか。
多分、すごく暖かい高性能のコタツだといって人気が出るでしょう。
しかし、ヒーターが焼き切れて、修理をしなければならなくなるでしょう。
70℃にセットされている自動温度調整器とは、つまり、壊れているのと同じです。
ヒーターを保護することが出来ません。
2.
自動温度調整器が25℃にセットされていたらどうなるでしょうか。
多分、全然温まらない、だめなコタツと言われて、苦しく思い、しかし、
自分では最高の努力をしているのだ、なぜそれを分かってくれないのだろうと、
思うでしょう。
*****
1.は、すごく頑張りやさんで几帳面で、対人配慮に溢れた人が、
限界まで頑張ってしまって、ダウンする場合です。
この場合、治療は、もう一度70℃にすることではありません。
自動温度調整器の設定を、40℃にすることです。
抗うつ剤はここに効いています。
すると、患者さんは思うわけです。
だんだん温度が上がってくることは確かだけれど、たった40℃で頭打ちだ。
自分は昔は70℃まで頑張れたのだ。
だめな自分になった。
40℃でだるいとか眠いとか思うなんて。
しかし考えてみると、これでいいのです。
40度になったら、それ以上は温度を上げない、
それが正しい温度調整器なのです。
40度になったら眠くてだるい、それを普通だと思って生きて下さい。
そうでなければ、また、焼き切れてしまいます。
40℃になったら、からだとこころにストップをかける、そのようになって欲しいのです。
抗うつ剤を飲めば、まるで高性能のドリンク剤のように、
頑張りがきくと思ったら少し違うと思います。
冷静になって、自分のことが見えてくるのです。
こんなに無理をしていたらだめだなと見えてくるのです。
*****
2.
こちらは、学生時代を通じて、25℃までしか体験せず、それでいいと思って育ってきた人です。
とても幸せでした。
世の中の平均体温はもっと高いものだと知ったなら、
36℃に調整するもよし、
25℃のままで生き続けるもよし、でしょう。
上司の要求をあなたが苦しいと思うとき、
上司の温度調整器が壊れているのか、(たとえば70℃)
あなたの温度調整器が壊れているのか、(たとえば25℃)
考えてみましょう。