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鬱病 働き盛りに急増中 対応遅れで長期化 心も「健康診断」必要
2007年10月24日(水)03:32
30代、40代の働き盛りに増えている鬱病(うつびょう)。重症化すると本人がつらいのはもちろん、企業にとっても大きなデメリットとなるだけに、予防や早期発見が求められる。そのため従業員の「心の健康」対策として「EAP」と呼ばれる支援プログラムを導入する企業が増えている。体と同じように心の健康診断を定期的に行い、鬱病などメンタル疾患の重症化を防ぐのが狙いだ。
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情報システム会社に勤務するIさんは、心療内科医との面談で3カ月の自宅休養を指示された。鬱病が強く疑われたためだ。Iさんの会社は同年4月、同業企業と合併。職場環境が大きく変わった山田さんは、1カ月後に仕事上で大きなミスをし、新しい上司に強く叱責された。この後、不眠や食欲不振などの症状が続いた。
ミスをしてから約3カ月後、異変に気づいた元上司のすすめで心療内科を受診し、鬱病がわかった。
企業合併や成果主義の導入など、働く人の環境が様変わりする中、山田さんのようなケースは珍しくない。山田さんの場合は自殺など最悪の事態にまでは至らなかったが、鬱状態になってから医師に相談するまで3カ月が経過しており、回復にも時間がかかった。
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EAPを開発・運用する担当者は「鬱病は対応が遅れると、それだけ回復にも時間がかかる。ただ、初期の場合、家族や職場の同僚が気づかないことも少なくない」と指摘する。
EAPは、従業員全員に対して定期的にストレステストを実施。「何でも話せる友人がいる」「上司は困ったとき話を聞いてくれる」など約100の質問項目にこたえてもらい、ストレスの高さを測定。要対応者を選別する。メールや面談でのカウンセリングを通じて本人に自身の状態に気づかせ、医療機関の受診を促し、重症化する前に治療に結びつける。
「一般的に要対応者として選別されるのは約1割。そのほとんどは自覚がないが、早期対処で病的な状態になるのを防ぐことができる」という。
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N空港株式会社は平成17年からEAPを提供するアドバンテッジ社と契約した。総務部厚生労務グループのマネジャーは「メンタル疾患に対して社員全員が興味をもってくれるようになったのが一番の成果。病気に対しての認識が高まれば、『寝付きが悪い』などの症状が続いたときに、『医師に相談してみよう』と早期の対応につながる可能性が高い」と評価する。
「メンタル疾患を自発的に相談する人はまずいないといってもいい。体と同じように心も定期的にチェックして、状況を確認するとともに、医療的な見地からの判断と介入が不可欠だ」と話している。
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こうした必要性は、法律の要請もあり、明らかに自覚される方向に向かっている。
生産性向上のためのメンタル管理というとなんだか絶望的な感じがするけれど、
元気で働き続けるための制度と考えたいものだ。
「メンタル疾患を自発的に相談する人はまずいないといってもいい」などと言っているが、最近はそんなことはない。
定期的にストレステストを実施、約100の質問項目にこたえてもらい、という紹介があるが、これは原始的な方法で、会社に知られたくない人は、当然、嘘を書くのだ。こんなものでメンタル管理ができるはずはなく、何かあっても、「会社として制度を整えていたので、責任はない」というだけのためにやっているのだろう。
100項目のストレスチェックではなく、同じ職場で働いている人間同士が、お互いのことに敏感になること、そして自分の状態を自分で管理できるようになることが根本的だろう。