乳癌の治療薬タモキシフェンが、躁状態の急速な改善に役立つと報告されているが、
その機序について。
以前の研究から急性そう病を治療する上においてプロテインキナーゼCの阻害が有効であることが示唆されていた。
リチウムとバルプロエートはともにプロテインキナーゼCを阻害することを示すエビデンスが得られている。これは間接的な効果であるといわれている。
現在のところ、血液脳関門を通過してこの酵素を比較的選択的に阻害し、ヒトに用いられている唯一の薬剤がタモキシフェンである。
イレッサなどもプロテインキナーゼに関係する。細胞増殖とか細胞死に関係しているでも、正確に、何を伝達制御しているのか、よく分からない。
たとえば、テレビが映らない場合でも、放送局が悪いのか、中継が悪いのか、テレビが悪いのか、いろいろと考えられる。
というわけで、治療開始後早くも5日でタモキシフェン服用者は対照群と比較してそう状態が有意に改善し、理論通りの結果というわけだ。
プロテインキナーゼCを直接標的にする、そう病の即効治療薬といわれれば、その通りだ。
大きな前進になるかもしれない。
どうして、プロテインキナーゼCを阻害することが躁状態の早急な改善に役立つのか。
プロテインキナーゼCは、がん、アルツハイマー、躁状態と関係があるとすれば、どのように関係しているのか。
ヒントがありそうでなさそうで、というところ。
がんと躁状態は、どちらも抑えがきかなくなるイメージ。アルツハイマーは、細胞を殺すメカニズムが押さえられなくなるイメージ。躁状態とアルツハイマーは神経細胞の話、一方は乳癌だ。これが神経細胞のがんならば、話は分かりやすいのだけれど。
プロテインキナーゼはアクセルで、タモキシフェンはブレーキになっているのか。
躁うつ病の患者さんでタモキシフェンを使った人もいたので、
追跡調査してみたいものだ。