喪失と悲嘆の心理療法

喪失と悲嘆の心理療法
本書は、愛する人を失った人への心理的援助(グリーフ・カウンセリング)について、構成主義とナラティヴ・セラピーの知見を取り入れ、さらに社会心理学的概念を援用しながら包括的かつ実践的に述べたものです。人が喪失に遭遇したときに意味を作り出す、という構成主義的な視点から、フロイトの悲哀モデルの考察に始まり、悲嘆の果たす効果、虐待とトラウマの関係、二次的外傷性ストレスなど、死別に苦しむ人々の臨床課題が詳述されています。 

喪失と悲嘆の心理療法

―目次―

序 論 意味の再構成と喪失

第I部 地盤を壊す:新たな悲嘆理論に向けて
 第1章 脱カテクシスを超えて:
      悲嘆の新しい精神分析的理解と治療へ
 第2章 世界を学びなおす:意味を作り出し,見出す
 第3章 死別体験へのコーピング(対処)の
      二重過程モデルから見た意味の構成

第II部 関係性を再び確立する:文脈とつながり
 第4章 遺された親の精神的,社会的ナラティヴに
      見られる亡き子どもの内的表象
 第5章 発達障害のある子どもの死

第III部 トラウマを超える:喪失後の成長
 第6章 トラウマ後の成長:喪失から学べる前向きなこと
 第7章 パートナーがエイズで亡くなった後に支えとなった
      スピリチュアルな力
 第8章 愛する人を失った後の成長

第IV部 ストーリーを壊す:研究と内省
 第9章 打ち砕かれた信念:
      トラウマカウンセラーという自己の再構成
 第10章 記憶を抱きしめる:喪失と希望のアカウントの構成
 第11章 セラピーとしての研究:変化に効果をもたらす
      ナラティヴの力

第V部 この世界と再び交渉する:悲嘆療法で意味を作り出す
 第12章 死別の言葉:意味を再構成する
      一つのプロセスとしての悲嘆療法
 第13章 ストレスを構成する:PTSDに対する構成主義の
      治療アプローチ
 第14章 ビデオ録画法:末期疾患患者の人生の再ストーリー化

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最近(認知)心理学領域を席巻している「二重過程モデル」が少なくとも感情刺激の検出(刺激を受けて感情反応をすること)に関してはあてはまらない。処理経路が二つある、というのは神経科学的にはおかしい仮定らしく、実際には一つの処理経路で、ぐるぐると何回もループしているのがいわゆる「顕在」、少ししかループしないのが「潜在」だというのだ。

ということは、潜在的感情と顕在的感情とを全く別モノのように扱っている大方の理論はちょっとおかしいということになる。同じ処理経路でループしている間に変わるということを考えなければならないから。ひょっとすると数年後にはこの脳神経科学からの知見が広まって、「潜在的態度」や「潜在自尊感情」みたいな「潜在的感情」が「顕在」と違う、というのは測定上のアーティファクトだった、ということになるかもしれない。

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Stroebe
Dual process model of coping with bereavement 1999

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脱カテクシスとかいろんな専門用語が飛び交っていて、
専門用語が好きな人にはいいですが、
二重過程モデルなども
なかなか難しい。