ES細胞 iPS細胞 ゆめの臓器 初期化因子

ES細胞 Embryonic Stem Cell、胚幹細胞
iPS細胞 induced pluripotent stem cell 人工多能性幹細胞

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精子と卵子が受精した直後の受精卵は、
単細胞ですが、それはいずれ細胞分裂して分化して、
人体のすべてを形成するに至ります。

成人の細胞をとってきて代々分裂増殖させたとしても、
無限に分裂するわけではありません。
老化が関与してきます。そして分裂能はなくなってしまいます。

ですから、受精卵は、すべての細胞になる能力をもつつともに、
老化の観点では、年齢カウンターをゼロにリセットしているのだと思います。

臓器移植するよりも、細胞培養によって臓器を形成し、
それを植えつけた方が良いだろうとの考えでした。

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そのような中で、ES細胞の開発が行われました。Embryonic Stem Cell、胚幹細胞です。

ES細胞は人体を形づくるあらゆる細胞にへと変ぼうすることのできるおおもとの細胞であるとともに、変ぼうする前の状態のまま自らをいくらでも分裂させて増やすことができる特性を持っています。
ES細胞を上手に誘導してやれば目的とする必要な細胞、組織、器官を意図的に作り出し、さまざまな治療に生かせる可能性が大いに広がったということを意味します

しかし、ES細胞はヒト受精卵から作製するために
患者へ移植すると拒絶反応が起ってしまいます

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ヒトの皮膚細胞から胚性幹細胞(ES細胞)と遜色のない能力を持った人工多能性幹細胞(iPS細胞 induced pluripotent stem cell)の開発に成功しました。
患者自身の体細胞から直接、ES細胞と同じ能力を持った幹細胞を作成するので免疫拒絶反応は起こらず、倫理的にも問題がありません。

ヒトES細胞と形態、増殖能、遺伝子発現、分化能力などにおいて類似したヒトiPS細胞

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初期化因子

体細胞を卵子に移植したり、ES細胞と融合させたりすると初期化が誘導されます。したがって、卵子やES細胞には初期化因子が存在していると考えられます。初期化因子の候補として24因子を選出しました。24因子を同時に線維芽細胞に導入すると、ES類似細胞が樹立できました。さらに因子の絞り込みを行った結果、Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4の4因子が必要であるとわかりました。こうやってできた細胞は、胚を使用していないのでES細胞ではなく、iPS細胞と命名しました。
何を導入したらiPS細胞ができるのか、最低限必要なのは何か、ここで国際的な競争が起こっていたわけです。

これまで体細胞から万能細胞を作るためには、卵子への核移植やES細胞との融合が必要でした。iPS細胞は、卵子や胚に由来するES細胞を利用する必要がありません。バチカンからのメッセージも好意的です。

しかしまた、そのようにしてできた細胞を累代培養した場合にどうなるかも問題です。