広汎性発達障害というカテゴリーがあり、
高機能なもの、知能の遅れのないもの、言語発達に遅れがないものを高機能広汎性発達障害つまり高機能自閉症またはアスペルガー症候群と呼んでいる。
それ以外のものは自閉性傾向と呼んでいる。知能の遅れのあるものをカナー型自閉症と表現することもある。
「遅れ」というものは結局、環境によって評価されるものなので、絶対的なものではないと考えている。
小児自閉症、レット症候群などがある。レットさんは日本で講演会も開いた。
自閉性傾向について、ややマイルドな感じで特徴を列挙すると、次のようになる。
1.社会性の問題
まわりの空気がよめず、「常識が足りない」と言われてしまうことがある。
相手の考えや気持ちが理解できず、苦労することがある。
気をつかっていても、なぜか浮いてしまう。
2.言語・コミュニケーションの問題
まわりくどい言い方をしたり、分かりにくい話し方をしたり、一方的に話したりする。
自分の思いを言葉として表現することが苦手で、しばしば誤解される。
相手の言っていることが、特に難しいわけでもないのに、分からなくなってしまう。
言葉をそのままの意味として捉えてしまうため、とんでもない勘違いをしてしまう。
たとえ話やことわざが分からない。
身振り手振りがうまく使えない。
相手の身振り手振りを、察知することができない。
3.想像力の問題
興味の関心が「広く浅く」ではなく、「狭く深い」。
思い込みや、こだわりが強すぎて苦労する。
予想と違うことがあると、あせってしまう。
相手の反応や、物事の結果を予測するのが苦手。
自分の空想の世界に浸ってしまうことがある。
4.視覚での認識は、わりと得意
口で伝えられて、理解できないことでも、表や図にすると理解しやすい。
5.五感に偏りがある
匂いに極度に反応したり、逆に鈍感であったりする。
さわられることに、極度に反応してしまう。
音に過敏に反応する。
6.身体の使い方が苦手
歩き方が個性的だと言われる。
スポーツはわりと苦手。
手先が不器用。
ボディーランゲージが苦手 (コミュニケーションを言葉だけに頼ってしまう) 。
こんな傾向の人はいくらでもいるなあという感じである。
最近は自閉性傾向スペクトラムととらえている。
一時的にこのような傾向が強くなることもある。
環境によって強く現れることもある。
これらの特徴は、短所とも長所ともいえる。環境による。
例えば、音に過敏に反応するという人が、絶対音感を持っていることもある。それがまた長所ともいえないが。
また、常識的な発想にしばられないことは、長所にもなる。
極度に反応して不安になって騒いでいると気に、ADHDと思われることもある。
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面接で、「こんにちは」「こんにちは」まではいいのだが、
「年いくつ?」ときくと「年いくつ?」とオーム返しすることがある。
面接の最後に「バイバイ」と手を振ると、
なんと手のひらを自分に向けて振っている。
自分と他人の立場の変換ができない。
これはミラー・ニューロンの話でぴったり説明できる点だ。