パワハラで自殺2審も認定…名古屋高裁「心理的負荷でうつ病」

パワハラで自殺2審も認定…名古屋高裁「心理的負荷でうつ病」

 中部電力社員だった夫(当時36歳)がうつ病になり自殺したのは、過労や上司のパワーハラスメント(職権による人権侵害)が原因だったとして、愛知県内に住む妻(43)が名古屋南労働基準監督署長を相手取り、遺族補償年金の不支給処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が2007-10-31日、名古屋高裁であった。

 満田明彦裁判長は、「業務が原因でうつ病を発症し、そのために自殺しており、不支給処分は違法」と述べ、不支給処分の取り消しを命じた1審・名古屋地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

 判決によると、夫は1999年8月に主任に昇格した後、うつ病を発症。同年11月、乗用車内で焼身自殺した。妻は翌年、労災認定を申請したが、労基署は「業務が原因のうつ病ではない」として申請を退けた。

 判決は、「主任昇格は、夫にとって心理的負荷が強かった」と指摘。さらに、上司の「主任失格」「おまえなんかいなくても同じ」といった言葉や、上司が結婚指輪を外すよう命じたことについて、「合理的な理由のない、指導の範囲を超えたパワーハラスメント」と認定し、こうした心理的負荷からうつ病を発症し、自殺に至ったと結論付けた。

 愛知労働局労災補償課の話「国側の主張が認められず残念。今後の対応は、判決内容を検討の上、決めたい」

(2007年10月31日  読売新聞)