メタボ基準、女性のウエスト周囲径は「80cm以上」が適切?
メタボリックシンドロームの診断基準におけるウエスト周囲径のカットオフ値は、男性85cm、女性80cmが適切であるということが、器質的心疾患の患者を対象とした調査で分かった。東北大循環器病態学の多田智洋氏らのグループが、第105回日本内科学会総会・講演会で発表した。
多田氏のグループは、東北慢性心不全登録2(CHART2)に登録されている、器質的心疾患を有する患者5791人(男性4070人、女性1721人)を対象に、血圧値異常(130/85mmHg以上)、脂質代謝異常(中性脂肪150mg/dL以上かつ/またはHDLコレステロール40mg/dL未満)、および空腹時高血糖(110mg/dL以上)の保有状況と、ウエスト周囲径の関連を調べた。
その結果、平均で男性2.04個、女性1.98個のリスクを有しており、男女ともに、ウエスト周囲径が増えるほど、保有するリスクの数も増えていた。さらに、ROC(受信者動作特性)解析により、2個以上のリスクを持つ人のウエスト周囲径の至適カットオフ値を求めたところ、男性84.8cm、女性81.8cmだった。
これらの結果から多田氏は「女性の場合、ウエスト周囲径の基準は、現行の90cmではなく80cmが適切ではないか」と述べた。
なお今回の総会・講演会に先立って、日本内科学会は3月18日付けで「メタボリックシンドローム診断基準についてのステートメント」を発表した。この中で、「(前略)それぞれの基準値(腹囲の数値、血清脂質、血糖値、血圧)の問題など、診断基準についてはさまざまな議論がある。本学会としては現時点で直ちに変更することはないものの、今後、新たな疫学研究および臨床研究を踏まえて科学的検討を行うこととする(後略)」との考えを示している。
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ウエスト周囲径を測ることと、総合的な命のリスクとの間に、どの程度の因果関係があるものか。
こういう研究は、特別なテクニックが必要ではないので、報告しやすい。
一般の人も計りやすいので、記事になっても、読まれやすい。
それだけのことで、メタボと腹囲が一人歩きしている。