「一般生活者における潜在的うつ病の実態調査」
一般生活者の12%、約8人に1人がうつ病・うつ状態の可能性
●うつ病・うつ状態に該当した人のうち、医療機関を受診したことがあるのは24%
●うつ病・うつ状態に該当する人の医療機関受診率は、自分で受診を決めた人が15%に対し、誰かに相談して受診した人が83%。周囲の助言が受診の後押しに
●うつ病・うつ状態と感じても医療機関を受診しない理由は、「行く必要を感じない」が44%
ファイザー株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:岩崎 博充、資本金:648億円)は、2007年2月7日から2007年2月16日にかけて、12歳以上の一般生活者4,000人を対象に、インターネット調査を実施しました。
日本では約15人に1人が生涯に1度はうつ病を経験すると言われています。特に近年は、患者数の増加や、自殺との深い関連性が指摘されるなど、うつ病を巡る状況は、より深刻になっています。このような状況を踏まえ、ファイザーでは一般生活者のうつ病に対する認識や疾患への理解、潜在的なうつ病・うつ状態の患者の存在、医療機関での受診状況について、その実態を把握することを目的に今回の調査を実施しました。
なお、今回の調査では、うつ質問票(PHQ:翻訳版)を活用し、一般生活者のうつ病・うつ状態に関する調査を行い、主に次の4つの点が明らかになりました。
おことわり:
今回の調査では、10代以上の国民のうつ病・うつ状態の実勢に近い発現率を比較するために、集計に際して「母集団拡大集計」を採用しています。(詳しくは参考資料を参照ください)
ニュースリリース中の数値は、全て小数点第1位を四捨五入しております。
■一般生活者の12%、約8人に1人がうつ病・うつ状態の可能性
うつ質問票の調査結果の分析から、調査対象者4,000人のうち、全体の12%、つまり約8人に1人がうつ病・うつ状態の可能性があることがわかりました。うつ病は誰にでも起こりうる疾患であることがわかります。
■うつ病・うつ状態に該当した人のうち、医療機関を受診したことがあるのは24%
うつ質問票でうつ病・うつ状態に該当した486人に対し、「医療機関を受診したことがありますか」と質問したところ、「受診したことがある」と答えたのは24%にとどまりました。
また、うつ質問票でうつ病・うつ状態に該当し、かつ「過去にうつ病・うつ状態と感じたことがある」と答えた384人に限定して同様の質問をしてみると、「受診したことがある」と答えたのは30%でした。実際に医療機関を受診する人は少ないことがわかります。
■うつ病・うつ状態に該当した人の医療機関受診率は、自分で受診を決めた人が15%に対し、誰かに相談して受診した人が83%。周囲の助言が受診の大きな後押しに
うつ質問票で「うつ病・うつ状態」に該当した486人に対して、「医療機関への受診について、誰かに相談しましたか」と尋ねたところ(複数回答可)、「自分で判断」が91%、「家族に相談して判断」が10%、「友人・知人に相談して判断」が3%、「その他」が3%でした。うつ病について周囲に相談しづらいという意識もあり、自分だけで判断してしまう人が多いようです。
一方、「家族に相談して判断」、「友人・知人に相談して判断」、「その他」を選択した人の83%が医療機関を受診しているのに対し、「自分で判断」した人は、15%しか受診していないことがわかりました。うつ病に関しては、なかなか他の人に相談しにくい傾向がありますが、実際に相談すると周囲の助言を受けて医療機関を受診することが多いことから、誰かに相談することは、受診を決断する際に重要な要素となっているようです。
■うつ病・うつ状態と感じても医療機関を受診しない理由は、「行く必要を感じない」が44%
うつ質問票でうつ病・うつ状態に該当し、かつ医療機関を受診していない254 人に「医療機関を受診していない理由」を質問したところ、「行く必要を感じない」が44%で最も多く、医師の診断を受ける前に自己判断しているようです。次いで「医療機関への不信感がある」が20%、「周囲に知られたくない」が15%でした。
うつ質問票でうつ病・うつ状態に該当した人のうち、「医療機関に行く必要を感じない」と回答した人の症状別の割合を見てみると、軽症の62%、中等症の51%、やや重症の21%、重症の25%と、軽症・中等症とやや重症・重症では、回答の割合が2 倍以上の差がありました。
今回の調査結果について -
鳥取大学医学部 統合内科医学講座 精神行動医学分野教授 中込 和幸先生のコメント
今回実施した調査は、インターネットによる自己申告であるため多少のバイアスを考慮する必要があるものの、全体の12%、つまり8人に1人もの方がうつ病・うつ状態である傾向が示されました。
うつ病は特別な病気ではなく、誰の身にも起こりうる疾患です。調査からも、うつ病・うつ状態と感じながらも医療機関を受診する人が少ないという結果や、受診しない理由に「行く必要を感じない」、「医療機関への不信感がある」、「周囲に知られたくない」などが挙げられており、うつ病についての理解や危機意識がまだまだ低く、治療に対する誤解も多い実情が示されました。
最も大切なことは、自分がうつ病かもしれないと感じたら、誰かに相談できる環境を創出することです。うつ質問票でうつ病・うつ状態に該当した486 人に対して、「医療機関への受診について誰かに相談しましたか」と尋ねたところ、「自分で判断」した423人の受診率は、わずか15%でした。一方、「家族に相談して判断」や「友人・知人に相談して判断」を選択した63人の受診率は83%にのぼりました。この結果からも、周囲の助言が医療機関での早期発見・早期治療を後押しすることを見て取れ、周囲の誰かに相談することの重要性が如実に現れています。
うつ病は、医師の指導下での早期発見・早期治療が重要な病気です。変調を感じたら、まずは医療機関を受診して、医師の診断を仰ぎ、治療を開始することが最善の方法です。医療機関を受診しない理由に「周囲に知られたくない」が挙げられるなど、うつ病・うつ状態について、なかなか他の人に相談しづらいと考えている人が多いようですが、自己判断をせず、まずは家族など身近な人に相談してください。また、周囲の方々も偏見を持たずにあたたかく相談にのってあげることが大切です。“うつ病は自分が患ってもおかしくない病気”と自分も周囲も理解している環境が早期受診につながります。
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うつになったら
一人で悩み続け
クリニックに行くのさえ
億劫で怖くてできないのが実態です。
まず、誰かに打ち明けてみましょう。