胎盤遺伝子はウイルス由来 哺乳類の進化解明へ一歩
哺乳(ほにゅう)類の特徴である胎盤の働きに欠かせない遺伝子が、哺乳類の祖先が感染したウイルスに由来する可能性が高いことが、6日、米科学誌ネイチャージェネティクス電子版に発表された。
卵で生まれていた原始的な哺乳類が、胎盤を獲得して体内で子を育てる「胎生」に進化した過程の解明に役立つという。
胎盤では毛細血管を通じて母体と子どもの間で栄養や酸素をやりとりする。研究チームは、マウスや人間にある「Peg11」という遺伝子が、感染したウイルスからDNAに組み込まれた特徴を残していることに着目。
マウスでPeg11をなくしたり過剰に働かせたりしたところ、胎盤の毛細血管の構造が異常になり、栄養などの交換機能が低下。胎児が成長不良で生まれないか、生後すぐに死に、この結果から、Peg11が胎盤の毛細血管の形成に欠かせないことが明らかになった。
チームはこれまでに、胎盤そのものの形成に必須の「Peg10」という別のウイルス由来の遺伝子があることも突き止めている。
胎盤を作るだけでなく、毛細血管という重要な機能でも外来遺伝子を活用したことが明らかになった。
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ウィルスによって外部から遺伝子が運び混まれて、進化を促進することは間違いないようだ。
しかし、有用な変化を一斉に起こすメカニズムが問題だと思う。