一見すると、慢性化すれば重症化するように思えますが、
理屈の上からは、慢性化と重症化は別のものです。
むしろ、疾病は一般に、軽症のもののほうが慢性化して持続する傾向があるという一面もあります。
逆に、重症化を防ぐメカニズムがあるから、
致命的でない程度の症状が慢性化していると考えることもできるでしょう。
重症の場合は、生体の防御反応としても、人間の意識的治療としても、
何とか対処しようと努力するものです。
重症であれば、仕事をやめたり、生活を変えたり、
かなりの犠牲を払ってでも、治療しようとするかもしれません。
もちろん、慢性かつ重症ということは多いのですが。
上は一般論ですが、
うつ病の場合には、慢性化と重症化のあいだには関係があると思います。
一般に、うつ病は、器質性の変化を残さず、完全に元に戻るといわれています。
私見では、慢性化して反復しているあいだに、
脳神経細胞の変質が起こり、
これが重症化につながるのではないかと思います。
再発・再燃を反復しているあいだに、
脳神経細胞に、修復不可能なダメージを与えるのではないかと、
昔から言われているところです。